2012年10月19日

新文芸坐オールナイト「再検証!? 映画『クレヨンしんちゃん』PART1」レポ

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10月6日、池袋の新文芸坐にて行われたオールナイトイベント「再検証!? 映画『クレヨンしんちゃん』PART1」に行ってきました。このイベントの最大の注目は、なんといっても豪華なゲスト陣。今やそれぞれ大活躍をされている本郷みつる監督、原恵一監督、湯浅政明さん、茂木仁史プロデューサーといった、歴代の監督・スタッフの面々がこうして集まるというのは、おそらく今後二度とないかもしれません。そんな貴重なイベントに参加して、私も終始興奮してしまいました。

イベントの始めに1作目~10作目までの予告編が上映され、その後トークショーという流れになりました。トークショーでは、映画の制作秘話や、ゲストの当時の面白ピソードなどが次々と飛び出してとても楽しく聞かせてもらいました。特に本郷監督は、今回初めてお目にかかったのですが、かなり気さくな方で、特に湯浅さんや原監督絡みのエピソードになると、彼らの口調を真似て話したりして、とても面白かったです。

『ハイグレ魔王』について
しんちゃんの人気が上がって映画を作ることになった際、臼井さんが映画のアイデアとして「ハイグレ・Tバック男爵・パンスト団」などのメモ書きを出したそうです。「これでどう映画を作れと?」と当時のスタッフは困惑していたそうですが、本郷監督は面白くなりそうと感じていたそうです。そこから脚本のもとひら了さんにプロットを書いてもらったのですが、ちょっと真面目な内容になっていたので、コンテの段階でいろいろ変えていったのだそうです。

設定デザインを担当していた湯浅さんは、当時は口数が少なく気軽に声をかけられる雰囲気の人ではなかったそうです。本郷監督が言うには、「ジャックナイフのよう」だったとか。仕事に対するのめり込み方が半端なく、原監督がお昼に誘っても、それを断って一人コンビニに行き、帰りしなに食べ終えて、すぐ仕事に戻るようなとてもストイックな仕事ぶりだったそうです。

プロットをもとに、湯浅さんは設定デザインをスケッチブックに描きためておいて、あとでスタッフがいつでも見られるようにしていたのだそうですが、湯浅さんの絵には、本郷監督らは大いに刺激を受けたそうで、そのデザインからさらに新たなアイデアも生まれたのだそうです。原監督は「湯浅さんがいなかったら、しんちゃんの映画はもっと薄っぺらいものになっていたと思う」と話されてました。

ハイグレのラストの登りっこ競争は、実は湯浅さんが考えたプロットだったそうです。最初、本郷監督が考えたプロットを見た湯浅さんは「面白くないですね」とバッサリ(笑)
自分ならこうするといってプロットを書いてきてそれが採用されたのでした。ちなみに、もともとは下っていく展開だったそうです。

こうして完成した『ハイグレ魔王』でしたが、関係者のみの試写会では評判が悪く、脚本をだいぶ変えられたもとひらさんからはクレジットの自分の名前を外してくれと言われたとか。
しかし、子供向けの試写会では子供たちの反応が良く、本郷監督は自分の作っていたものが間違っていなかったとわかりホッとしたそうです。


原監督エピソード
『エスパー魔美』のころから仕事を共にしている本郷監督と原監督。「お互いの手の内を知っている」ということで『ハイグレ』のときは綺麗にコンテを2分割にして作っていたそうです。前半の原監督パートが「日常の延長線」のような雰囲気になったのも、本郷監督は織り込み済みだったそうです。ちなみに本郷監督は『エスパー魔美』の「俺たちTONBI」を見て以降、原監督の作風を大変気に入ったそうです。

そんな意気投合していたお二人でしたが、『ヘンダーランド』のときには、いろいろと大変なこともあり原監督ともギクシャクしたそうで、ある真夜中に本郷監督のところに、原監督がそばに来て「本郷さん・・・このオカマは出しちゃいけないオカマだったんですよ・・・」と言ってきて怖かったと話されてました。

『ヘンダーランド』では、雛形あきこさんがゲスト出演されていましたが、原監督は「僕は雛形あき子が出てくる所なんてやりたくない」と言っていたそうです。しかし、実際にアフレコに本人が来ると、当の原監督はテンションが結構あがっていたそうで(笑)
その後、制作資料として使っていた雛形さんの写真集が誰かに持ち去られていたそうですが、原監督は「いや、それは僕じゃないですよ!」と否定されてました(笑)


スタッフエピソード諸々
シンエイ動画では、『ドラえもん』映画のほうでは出前が取れるそうですが、『しんちゃん』のほうは予算がないので、食事は外で食べに行くのだとか。(あれだけの傑作を生み出しているのに・・・。)
その出前が到着する際、電話が本郷監督の席のすぐそばにあったので、いつも本郷監督がその電話を受けていたそうです。しかし、『しんちゃん』のスケジュールがきつくなってくると、「なぜ自分が食べられない出前の電話を自分が受けなきゃいけないのか」とイライラしはじめて、作画の堤規至さんが気を遣って電話に出るようになったのだとか。その話は原監督のほうから出たのですが、当の本郷監督本人は覚えていなかったようです。

しんちゃんの映画には欠かせない作画スタッフの話題も。本郷監督によれば、大塚正実さんは原監督とのコンビが最強だったといいます。『チンプイ』時代からお二人はツーカーの関係で、お互いに作画・演出の意図をしっかり汲んでいたそうです。『雲黒斎』に登場する馬のエンジは、二人が揃わなければ描けなかっただろうと本郷監督はおっしゃってました。

安藤真裕さんについて、原監督は、『雲黒斎』での吹雪丸とマタタビの菜の花畑の決闘シーンと、『ヘンダーランド』でのババ抜きシーンが印象に残ったそうです。本郷さんも「手の芝居が細かくて上手い」と絶賛していて、湯浅さんも、安藤さんを始めとする優秀なアニメーターが集まってきて、大いに刺激を受けたと話されていました。

原監督は「作っているときはスケジュールが本当にキツくて辛かったけど、振り返ってみるとやっぱりクレしんは楽しかった」「当時はしんちゃんの映画なんて業界では見向きもされなかったけど、お前らしんちゃんなめんなよ!と思いながら作ってた」と、当時をやや懐かしんでいた様子でした。


次回作&じゃんけん大会
トークの終盤では、それぞれの新作についての話題が。
まずは原監督の最新作『はじまりのみち』について。

もともとは脚本だけのオファーだったそうですが、書いていくうちに次第に監督もやってみたいと思うようになり松竹に頼んだところ、今回の実写初監督が実現したそうです。
実はちょうどこの日が撮影のスタートで、最初は風景だけの画を撮り、俳優さんを交えての撮影は来月からとのことでした。初の実写ということもあり、今回は仕事で会う人ほとんどが初対面の人で、原監督も気恥ずかしさを感じているようでした。

続いて湯浅監督ですが、Production I.Gのほうで新作『Kick-Heart』を制作中とのことで、しかもこのアニメは、アニメへの出資をネット上で募集するという新しい試みが行われています。

ドSの女レスラーとドMの男レスラーが戦うアニメ「Kick-Heart」への出資をProduction I.Gがネット上で募集開始 - GIGAZINE

なお、このアニメに1万ドル(約78万円)出資すると、Production I.G社内のプライベートツアーと、湯浅監督とI.Gの石川光久社長、さらに押井守監督といっしょにディナーできるんだそうで。ご興味のある方は、ぜひ出資のご検討を。

一方、本郷監督のほうはといいますと、一応何かしら進めている雰囲気ではありましたが、残念ながら詳しいお話はありませんでした。続報期待しています。


そして最後は、ゲストとのじゃんけん大会が行われました。見事勝ち残った人には、なんと今回のゲスト4人のサイン入りDVDがプレゼントされました。私は一度はいいところまでは行ったんですが、結局もらえませんでした、残念。

こうしてトークのほうはお開きとなりましたが、今回はパート1ということで、パート2以降の開催も期待されるところですが、本郷監督は「今夜かぎり」と決めていたそうで。
しかし、司会の小黒さんから「パート2にも来てほしいですか?」と観客に聞くと、会場全体が拍手の嵐。これには本郷監督も照れ笑いでした。パート2での出演お待ちしてます、本郷監督。

というわけで終始和やかな雰囲気で、大いに楽しませていただいたトークショーでした。
本郷監督、原監督、湯浅さん、茂木プロデューサー、楽しい時間をありがとうございました!


トークショーはこれにて終了しましたが、実はもう一つすごいお楽しみが待ってました。
それはまた後日。

posted by チューシン倉 at 00:18| Comment(0) | TrackBack(0) | イベント | 更新情報をチェックする
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