2013年07月24日

今年で最後のグリソムギャング『河童のクゥと夏休み』上映会に行ってきました

先週の話になりますが、グリソムギャングの『河童のクゥと夏休み』上映会に行ってきました。2009年夏から原監督をゲストに招いて毎年行われたイベントでしたが、今年の11月でグリソムギャングが閉店することになったため、クゥの上映会も今年で最後となりました。
私自身はクゥの上映会には去年から参加させていただきましたが、こうして原監督やスタッフのお話が聞ける機会がもうなくなるのかと思うと寂しいです。

私が行ったのは二日目の日曜日でしたが、この日は参加希望者が非常に多かったため、補助席を急遽増やすほどの大盛況となりました。そして、当初ゲストは原監督とキャラクターデザインの末吉裕一郎さんの予定だったのですが、これに加えてなんと美術監督の中村隆さんと、現在『クレヨンしんちゃん』のテレビシリーズの監督を務めるムトウユージ監督が急遽来られ、最後を飾るにふさわしい豪華メンバーが揃ったトークショーとなりました。ちなみに中村さん、ムトウ監督は、普通に一般参加で来られたそうです。

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左から中村隆さん、末吉裕一郎さん、原恵一監督、ムトウユージ監督


原監督は、美術監督の中村さんについて、『雲黒斎の野望』での仕事ぶりを見て『河童のクゥ』で美術監督をやってもらいたいと思ったそうです。これまでのシンエイ作品にはない丁寧な背景美術に、原監督はそのころから目をつけていたそうです。そして、実際に『河童のクゥ』で美術をやってもらったときに、中村さんには「暑さ」のある背景美術を求めたそうです。普通ならば、日射しの強さなどで夏の描写を表現するのですが、それだけでない原監督の難しい要求に中村さんは苦労されたようです。できあがるのに1ヶ月以上もかかったとか。他にも、康一が遠野へ旅立つシーンの背景美術にも、「これから日中暑くなってきそうな朝の風景」という難題だったとか。

『クレヨンしんちゃん』『ドラえもん』などといったこれまでのシンエイ作品とは違い、地味なキャラクターデザインだった『河童のクゥ』でしたが、もともと原監督はその方向で進めようと考えていて、当初末吉さんが書いていたデザインは、頭身の低いキャラクターだったのですが、原監督の指示で、頭身の高いリアルなキャラクターに。ちょうどその頃、湯浅政明監督の『マインドゲーム』で頭身の高いキャラクターを描いていたこともあり、その経験を活かせたのだそうです。また、原監督に勧められて見た『どこまでもいこう』(塩田明彦監督)に感銘を受け、デザインの参考にもなったのだそうです。

『河童のクゥ』の制作には5年以上もかかったのですが、原監督曰く「悠長に進めていた(笑)」のだとか。(当初は2006年夏の公開予定だったそうです。)ここまで長く時間をかけられたのは、実はそうなかなかできることではなく、当時のシンエイの制作体質が特殊だったからこそ実現できたと原監督は語っておられました。今はシンエイも体制が変わってしまったため、もうあのようにはできないだろうということは、ゲストのみなさんも口を揃えて語っていました。それだけ長い時間をかけていただけに、中村さんも末吉さんも『河童のクゥ』への思い入れは深く、自分のターニングポイントになったと語られたのは非常に印象的でした。

トークでは、『はじまりのみち』についても触れられました。原監督は『はじまりのみち』において、木下監督作品の特徴である、横移動のカメラワークを意識されていたようです。しかし、実際に横移動のショットを撮るとなるとレールを敷かねばならず、スタッフ総出でレールを敷き、また撮っては敷き直すといった大がかりな作業に原監督も驚かれたそうです。原監督も手伝おうかと思ったそうですが、監督がやるべきではないと周りに止められることもあったそうです。

また、便利屋を演じた濱田岳さんは『河童のクゥ』が大好きだそうで、加瀬亮さん演じる木下監督との去り際のシーンでは、クゥを意識して河童走りをされてたそうです。これは見た当時は気づかなかったので、またDVDなどで再確認してみようと思います。

ムトウ監督からは『クレヨンしんちゃん』についてのお話も聞かれました。
原監督からテレビシリーズの監督を引き継いだムトウ監督でしたが、ムトウ監督には実際にお子さんがおり、自らの家庭の体験談を『クレヨンしんちゃん』でお話にしたということもあったそうです。それを知った家族から咎められたこともあったとか。原監督とはまた違った視点からリアルな家庭を描こうと試みたようです。

一方で、最近しんちゃんで、ゾーさんを隠している理由について聞かれると、やはりテレビ業界全体の自主規制によるものらしく、歯がゆさを感じている様子でした。それでも、そういった厳しい規制の中でできる、新しい演出方法を模索していると語っていました。その新しい演出がどのようなものになるか、今後の『クレヨンしんちゃん』に注目したいところです。


トークショー終了後は、ゲスト4人のサイン会となりました。つい先日発売された『河童のクゥ 6年目の夏休み』を持参してサインをいただきました。

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原監督には今回菊池紗代子を描いていただきました。そしてムトウ監督には、しんちゃんではなく『クマのプー太郎』を描いてもらっちゃいました(笑)。私の前にサインをもらっていた方がプー太郎を描いてもらっていたので、ついついそれに影響されてしまいました。何せ大好きなアニメだったもので。

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末吉さん、中村さんにも描いていただきました。

トークショーのあとに行われた懇親会は、今まで以上に大いに盛り上がったように思いました。特にムトウユージ監督には初めてお目にかかったのですが、常にハイテンションな方で、終始面白おかしくお話を聞かせていただけました。しかも、ムトウ監督お手製のアクション仮面のマスクを持参されて、その上、他のゲスト3人にマスクを被せてアクション仮面を演じてもらうという展開にw

もちろん原監督もマスクを被ってアクション仮面を演じたのですが、顔の輪郭がまさにアクション仮面そのもの。そのときの写真を撮っているので見せたいところなのですが、さすがに原監督が恥ずかしがるかと思いますので、懇親会に来られた方だけの思い出としてとどめておきます。

懇親会後も、グリソムギャングのバースペースで二次会が行われ、結局朝までお付き合いすることになってしまいました。それでもゲストのみなさんから語られたお話は、ずっと聞いても飽きなかったです。時間が過ぎていくのが本当に惜しいくらいでした。ゲスト4人のみなさん、楽しいひとときを本当にありがとうございました。

こうしてグリソムギャング最後の『河童のクゥと夏休み』上映会はお開きとなったのですが、主催者からは別の場所で来年の夏も上映会をやりたいとのことで、原監督と直にお話しできる機会はまだ残るかもしれません。さらに、10月にはグリソムギャングで『暗黒タマタマ大追跡』の上映会を予定しており、原監督も都合がつけばゲストで来てくれるそうです。グリソムギャングで原監督とお会いできるのもそれが最後となりそうです。『暗黒タマタマ』の上映会楽しみです。

最後に。
『河童のクゥ』の上映会には、結局去年と今年の2回だけの参加でしたが、こうした貴重な機会を毎年与えてくださったグリソムギャングのみなさんには本当に感謝してもしきれないぐらいです。閉店まで残り4ヶ月ですが、最後の最後までご活躍を心からお祈りいたします。
ありがとうございました。

posted by チューシン倉 at 01:03| Comment(0) | TrackBack(1) | イベント | 更新情報をチェックする
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