2014年09月07日

Base KOM『河童のクゥと夏休み』上映会に行ってきました

今年もやってきました毎夏恒例の『河童のクゥと夏休み』上映会。グリソムギャングでの上映会は去年が最後となりましたが、グリソムギャングの支配人さんの強い意向もあり、今回は日本橋人形町にあるレンタル試写スペースの「Base KOM」にて開催されました。

今回のゲストは原監督はもちろんのこと、クゥ役の冨澤風斗さん、康一役の横川貴大さん、キャラクターデザインの末吉裕一郎さん、美術監督の中村隆さん、そして今回が初参加となる音楽担当の若草恵さんという合計6人という史上最多のゲストを迎えての上映会となりました。冨澤さん、横川さんにお会いしたのは、私は一昨年の上映会以来2年ぶりだったのですが、あれからさらに成長されてすっかり大人びた姿になってましたね。特に横川さんはすでに成人され、堂々とお酒が飲めるお年頃に。懇親会の席では、お酒を飲んで真っ赤っかになった横川さんの姿がとても印象に残りました(笑)
今やこの『河童のクゥと夏休み』上映会は、一種の同窓会のような雰囲気になっていると思いました。

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左から末吉さん、横川さん、冨澤さん、原監督、若草さん、中村さん

まずは『河童のクゥ』本編の上映からスタート。私は関西のほうに住んでいるのですが、今年の西日本の夏は大雨に見舞われることが多く、夏らしい夏を過ごすことがあまりできませんでした。それだけに今回は『河童のクゥ』を見て、より夏らしさをこの映画で感じることができました。やっぱりこの映画は夏に見るのが一番ですね。

そして本編の上映が終了後、お待ちかねのトークショーが行われました。
今回は若草恵さんが初参加ということもあり、主に音楽の話題が多く出されました。

若草さんが起用された経緯について、原監督は『クレヨンしんちゃん』などでお世話になっていた音楽事務所のイマジンさんに頼み、何人かの作曲家に課題を出してデモ音楽を作ってもらったそうです。そのデモ音楽を、作曲した人の名前を伏せた状態で聞き、良いと思った曲を作った人を採用するという形式で行われたそうです。原監督はデモ音楽を聴いた印象では、若い作曲家の方をイメージされていたようなのですが、実際は大ベテランの若草さんだったと知り、大変驚いたとのことです。

原監督は、以前からガムラン音楽を使いたいと考え、日本のアニメで初めてガムランを使うという目論見があったようです。残念ながらそれは『AKIRA』で先を越されてしまいましたが。
それでもガムランへのこだわりは強く、音楽家の起用にあたってもガムランをうまく使えるかどうかということに重点を置いていたそうです。しかし若草さんによれば、ガムラン音楽は伝統音楽なので新しく曲を作るということはほとんどないため、新曲を演奏できる人自体ほとんどいないのだそうです。ツテを頼ってなんとか演奏できる人にたどり着いたという苦労がありましたが、この経験で自分の音楽の幅が広がったことに喜びを感じていたようでした。

クゥがお父さんの腕と出会うシーンでは、ホーミーが印象的に使われていますが、あれは太田惠資さんというプロのアーティストさんがバイオリンを弾きながら即興でやってもらったそうで、その瞬間スタジオの空気が一変したといいます。また、康一とクゥの別れのシーンの音楽は、若草さんも大変苦心したそうで、原監督からはストリングスは使わないというオーダーが出ていたのですが、若草さんは逆にストリングスを効果的に使うことを提案したそうです。結果として少年から大人へと成長するイメージを印象づける音楽となりました。

若草さんは試写会でこの作品を試写で見たときは終始泣きっぱなしだったそうで、そして今も自身にとっても『河童のクゥ』は特別な作品だと言います。
最近では学校の校歌を作曲する機会が多く、そのイメージ作りのために子どもたちと話をする際も必ずと言っていいほどクゥの話が出てくるのだそうです。その縁もあってクゥの上映会まで行ってくれるところもあり、スタッフからも本当に愛されている作品だと強く感じました。

音楽以外の話題では、冨澤さんと横川さんに、今見返してみての感想を伺う場面も。紗代子に黒板消しを投げつけるところや、泣いている紗代子にあまり構ってあげられず康一が帰ってしまうシーンに、横川さんはリアリティを感じたそうです。この年になって監督の意図がわかるようになってきたようで、身体だけではなく物の見方まで成長したのかと感慨深くなりました。また、藤子・F・不二雄先生の作品がお好きだという原監督は、『ドラえもん』をリアルに作ってみたらどうなるのだろうかという意識を持って、クゥを作っていたそうで、私も藤子F先生のファンだけにとても興味深いお話でした。

トークの最後に、ゲストそれぞれの今後のお仕事についてのお話が聞けました。注目の原監督は目下新作の制作進行中。来年には公開予定とのことです。ちなみに、三鷹のスタジオで作っているそうで、三鷹は富澤さんのお住まいの最寄り駅だそうで、今後バッタリ会うかもしれないと、にこやかに話されていました。その冨澤さんは近く小さい舞台に出演されるそうで、地道に経験を積もうと努力されているご様子でした。

そして来年以降のクゥ上映会についての新しい情報も。実はグリソムギャングの元支配人さんが、グリソムギャングのあとを引き継ぐ新しい映画館を、近く横浜にオープンする予定とのこと。来年以降はそちらでクゥの上映会を行うそうです。ずっとこの上映会は行われてほしいと思っていただけに、来年以降も続くというのは本当に嬉しいことです。新しい映画館は「シネマ・ノヴェチェント」という名前で、全国でここでしか上映しない映画も随時公開していくのだそうです。近くにお住まいの方は、ぜひ注目してみてはいかがでしょうか。

トーク終了後は、ゲストのサイン会が行われ、ゲストのみなさんにサインしていただきました。今回は若草さんについては1人2点までOKということだったので、クゥの公開時に買っていたサウンドトラックCDにもサインしていただきました。

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サイン会が終わったあとは、会場近くのインドカレーのお店で懇親会が行われました。今回はゲストが多かったせいもあって、いつも以上に中身の濃い話が聞けて大いに盛り上がりました。さすがに新作の『百日紅』のことについては深いことは聞けませんでしたが、末吉さんが参加を断るほどのハイクオリティで、作画スタッフも凄い方々が揃っているとか。『百日紅』これはかなり期待していいのかもしれません。とりあえずのところは続報が来るまで、しばしお待ちをということで。

懇親会のあとは、原監督と中村隆さんを交えて、0時までの少しの間だけでしたが有志で二次会が行われ、私も参加させていただきました。原監督からは、演出助手で関わっていた『魔界大冒険』で芝山努監督の絵コンテを見たときのお話が印象的でした。続きを読むのが本当に楽しみで、絵コンテについては芝山監督の影響を強く受けていると熱く語っていました。また、参加者の中に、あるドラマの助監督をやっているという方がおり、その方が濱田岳さん本人から聞いた『はじまりのみち』のエピソードも興味深かったです。濱田さんはあのエアカレーのシーンを撮る前日は非常に緊張していて夜も眠れなかったとのこと。それだけ重要なシーンであるということを濱田さんは強く意識されていたんでしょうね。そうして見せた予想以上の演技に、原監督もとても驚かれたそうです。ますます私の濱田さんへの好感度が上がりました。
こうして楽しい夜は過ぎていき二次会もお開きとなりました。

今回は場所を変えての上映会でしたが、グリソムギャングのときと変わらず、濃密なひとときを過ごすことができました。もはや一種の同窓会となっているこのイベント、ずっと長く続いていってほしいものです。また来年、今度は横浜でお会いしましょう。原監督はじめゲストのみなさん、そして今回参加されたみなさん、本当にありがとうございました!

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河童のクゥと夏休み オリジナル・サウンドトラック - サントラ
河童のクゥと夏休み オリジナル・サウンドトラック - サントラ
posted by チューシン倉 at 21:38| Comment(0) | TrackBack(0) | イベント | 更新情報をチェックする
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