2015年04月30日

ロフトプラスワンウエスト『百日紅』公開記念原恵一監督トークショー(その1)

いよいよ『百日紅~Miss Hokusai~』の公開が近づいてきている今日この頃ですが、その公開を記念しての原恵一監督のトークイベントが、先日4月21日に大阪心斎橋のロフトプラスワンウエストで開催されました。原監督が関西で『百日紅』についてたっぷり語ってもらうという大変貴重な機会。大阪在住の私が行かないわけにはいきません。というわけで、この日はきっちり定時で仕事を終えて、すぐさまロフトプラスワンウエストに向かったのでした。

ちなみにロフトプラスワンウエストは去年オープンしたばかりなのですが、中島かずきさんや湯浅政明さんもここでトークイベントをやっていて、私もそちらに参加しておりました。それだけに、いつかは原監督もここでトークをやってほしいと思っていたのですが、まさかこんなに早く叶うとは思ってもいませんでした。いやあ、ロフトプラスワンウエストができて本当によかった~。

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平日夜という時間帯にもかかわらず、この日は若者から中高年層まで幅広い年代層のお客さんが訪れ、ほぼ満席という盛況ぶり。このあとの質問コーナーで知ったのですが、クリエイター志望の方も多く訪れていたようです。また、中には『はじまりのみち』で初めて原監督の作品に触れたという人もいて、原恵一ファン層の幅広さを改めて思い知らされました。そんな活気づいた雰囲気の中でトークイベントが始まりました。

司会は、映画評論家のミルクマン斉藤さん。7年前に京都みなみ会館で行われた原恵一監督のオールナイト上映のときに司会を務めておりました。ミルクマン斉藤さんといったらピンクのスーツがトレードマークなのですが、この日は諸事情により普通のベージュスーツ姿。そして原監督が登場されトークが始まりました。今回は写真撮影がOKということでしたので、イベント中に撮った写真も載せます。

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■杉浦作品との出会いと、『百日紅』製作の経緯
原監督が杉浦日向子さんの作品と出会ったのは20代の頃で、当時はちょうど『エスパー魔美』でチーフディレクターをやってた時でした。最初に読んだ杉浦作品は『風流江戸雀』で、江戸の町人の日常をリアルに描いているところに強く惹かれたそうです。それから杉浦さんの作品はすべて読み、当時連載中だった『百日紅』も単行本で読んだそうです。

そんな『百日紅』を劇場アニメ化することになったきっかけは、『カラフル』以降次の仕事がなかなか決まらず、長年縁のあったProduction I.Gの石川光久社長のところに営業に行ったのが始まりでした。そのとき持ち込んだのは杉浦さんの『合葬』だったのですが、実はI.Gのほうで『百日紅』のアニメ化企画を進めていたことを石川社長から聞かされたのでした。そしてその後石川社長のほうから、予算内と90分以内で作ることを条件に『百日紅』をやらないかと持ちかけられ、引き受けることになったのでした。


簡単に経緯を語ってもらったのち、ここで『百日紅』のメイキング映像が上映されました。このメイキング映像は、以前に東京アニメアワードフェスティバルのI.Gオールナイトで観たときのと同じものでした。上映後、このメイキング映像にも登場された井上俊之さんの話にも触れられました。

■井上俊之さんについて
原監督はこれまで井上さんのことはあまりご存知ではなく、今回初めてご一緒に仕事されたのですが、その絵の巧さと早さには大変驚かされたようです。先日、原監督は押井守監督と飲みに行ったそうなのですが、その際、押井監督は「アニメ映画なんて井上俊之さんが5人いれば作れる」と言って、彼の技術の高さを評していたそうです。
ゆえに井上さんは、いろんな現場から取り合いの状況になっていて、もう一月ぐらい残ってほしかったそうなのですが、細田守監督の『バケモノの子』のほうに取られてしまったんだとか。原監督は「細田め…。」と悔しさを滲ませていたご様子(笑)

■キャストについて
原監督は絵コンテを描き始めた段階から、お栄の声に杏さんが思い浮かんだのだそうです。山田太一さん脚本のテレビドラマ『キルトの家』での演技が印象に残り、それがお栄のイメージに繋がったのだとか。コンテを描いてた当時、杏さんはNHKの連続テレビ小説『ごちそうさん』に出演中ということもあって、今後忙しくなるに違いないと思って、早め早めにオファーを出したそうです。
一方、北斎役に松重豊さんを起用した理由は、同じく山田太一さん脚本の『ありふれた奇跡』での演技と、松重さんの代表作『孤独のグルメ』での語り口が印象に残り、北斎にぴったりだと思ったそうです。しかし、オファーを出した時点で、偶然にもフジテレビの月9ドラマ『デート~恋とはどんなものかしら~』での親子役共演が決まっていて、先を越されたと原監督は悔しがったのだとか。とはいえ、変えるのも嫌だと思い、結局このままいくことになりました。


続いて上映されたのは『百日紅』の本編映像の一部でした。冒頭と思しき、お栄が両国橋を渡るシーンや、お猶が雪遊びをするシーンなどは、I.Gオールナイトでも鑑賞済みでしたが、その他にも初めて観る映像がいくつか含まれていました。そして上映後には、原監督自ら持ってきた『百日紅』の絵コンテが本邦初公開されました!

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■『百日紅』の構成・絵コンテ
原作漫画は短編が連なっている構成になっていますが、これを映画にするにあたって原監督は、お猶の登場する「野分」をクライマックスに持っていき、そこから逆算してお栄とお猶の関係を軸に、原作のエピソードを重ねていく構成にしたそうです。
今回は90分以内ということもあり、絵コンテを描くにあたっては尺計算をかなり意識したそうです。これまで長いのをばかりやっていたせいもあって、最初のうちはその癖が出てしまい、絵コンテ段階で欠番にしたカットが多かったとか。そのうち段々と尺の感覚をつかめるようになり、カッティングの段階で欠番をほとんど出さなかったことには、自分で自分を褒めてやりたいと原監督は語っていました(笑)

『百日紅』の絵コンテをさらっと見せてくれたあと、今度は司会のミルクマン斎藤さんが持ってきたのは、葛飾北斎と、『百日紅』に登場する池田善次郎がのちに渓斎英泉として描いた浮世絵や春画の画像を、モニターに映して紹介してくれました。当然春画なので、男と女のあそこらへんが大っぴらに、それもモザイクなしで映し出されるものだから、観ているこっちもなぜか恥ずかしくなってしまいました。こういう光景はまさにロフトプラスワンらしい光景と言えそうです(笑)
それでも、江戸時代の人々の営みや風俗をしっかり感じ取ることができて、なかなか興味深かったです。近いうちに、自分の目で生の浮世絵を見てみたいと思いました。

盛り上がってきたところでトークの前半が終了。休憩を挟んで後半に突入しました。
その2に続きます。
ロフトプラスワンウエスト『百日紅』公開記念原恵一監督トークショー(その2)
posted by チューシン倉 at 00:04| Comment(0) | TrackBack(0) | イベント | 更新情報をチェックする
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