2015年08月23日

シネマノヴェチェント『河童のクゥと夏休み』上映会イベントに行ってきました

3ヶ月ぶりの更新です。皆様いかがお過ごしでしょうか。

実は私事で恐縮なのですが、このたび仕事の都合で大阪から東京への転勤が決まり、その引越しなどで最近忙しくしていました。上京してのひとり暮らしは、まだまだ慣れないところも多いのですが、これで、東京の映画やアニメイベントに気軽に行けると思えば、前向きにとらえられます(笑)
今後、原監督のイベントに参加できる機会も増えそうなので、レポ記事も増えそうな気がします。今後ともよろしくお願いいたします。

さて、そんな中、一昨年までグリソムギャングの毎夏恒例イベントだった『河童のクゥと夏休み』の上映会&トークショー。去年は日本橋の「Base KOM」での開催でしたが、今年からは、グリギャンの支配人だった方が、新たに横浜にオープンした「シネマノヴェチェント」で開催されることになりました。まだまだこうしてみなさんが集まる機会が残るのかと思うと、本当に嬉しいかぎりです。そんなシネマノヴェチェントでの最初のクゥ上映会が、先日7月25日に開催されました。

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シネマノヴェチェントの外には、往年の映画スターの顔がずらり。館内は、以前のグリギャンと違い、フロアがバーと一体化していて、鑑賞後に気軽に一杯できる雰囲気。一方、シアターの座席は、去年閉館した吉祥寺のバウスシアターのを譲り受けたそうで、映画ファンにはたまらないこと間違いなしでしょう。個性的なラインアップを揃えて毎日上映されているので、近くにお住まいの方は、ぜひ一度行ってみてはいかがでしょうか。

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そんなシネマノヴェチェントでの初上映でしたが、やはりいつ観ても「夏休み」を感じさせ、子供時代の感情を取り戻してくれるかのような映画でした。この日も厳しい暑さでしたが、クゥはそんな厳しい夏に観るのに一番ふさわしい映画だと思います。

そんな映画の余韻がさめやらぬ中、スタッフ・キャストのトークショーが始まりました。残念ながらクゥ役の冨澤風斗さんは、大学の試験が入ってしまったため急遽欠席となり、今回は原監督、康一役の横川貴大さん、キャラクターデザインの末吉裕一郎さん、美術監督の中村隆さん、そして今回初参加のプロデューサー・茂木仁史さんの5人のトークショーとなりました。

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今回のトークは、茂木プロデューサーが初参加ということもあり、主にプロデュースの面から『河童のクゥ』の製作エピソードが語られました。

原監督とは同い年で、入社時期もほぼ同じだったという茂木さん。元々は別チームだったそうですが、原監督とは話す機会も多く、また茂木さんが関わっていた作品で、原監督に絵コンテを書いてもらったこともあったそうです。やがて茂木さんと原監督は、『エスパー魔美』のときから一緒に仕事するようになり、その後茂木さんはプロデューサーとして『21エモン』『クレヨンしんちゃん』などに関わっていきます。

『河童のクゥ』の企画を実現させようと思い至った経緯について、茂木さんは「今の時代、どこかおかしいのではないか」とふと真面目に考え始めたのがきっかけだそうです。特に儲けようとかは考えずに、素直に一本の映画を作りたいという思いが、『河童のクゥ』を動かすことになったのです。そこで、2002年の初頭から広告代理店や配給会社などに声をかけていったのですが、なかなか配給会社や出資元が決まらず、その翌年末になって、ようやく配給が松竹に決まったのでした。しかし、それでも公開日が決まったわけではなく、予算もはっきり決まったわけではなかったため、見切り発車的にパイロットフィルムの制作や絵コンテの作成が進められたといいます。

これまでのシンエイ作品では、上のほうから現場に降りてくる企画をこなす形で仕事をされていましたが、『河童のクゥ』の場合は、現場のほうから上がってくる形だったため、最初はすんなり行くと思っていた原監督も、なかなか出資元が決まらないことに、もどかしい思いを抱えていたといいます。シンエイの社内でも、『河童のクゥ』の企画には冷ややかな声もあり、茂木さんと原監督が勝手にやっているという雰囲気があったそうです。それでも社員監督という立場上、思う存分会社のスネをかじって5年も制作をかけられたことはメリットだったそうですが(笑)

また、公開にあたってネックになったのは時間の長さでした。原監督の描いたコンテは3時間分あり、どれだけの尺で公開するかで揉めたそうです。結局今の尺(138分)に落ち着いたのですが、原監督としては意の沿わない長さになってしまい、完成したときはあまり嬉しくなかったのだとか。(※筆者註:劇場公開時にはカットされた3分半のシーンは、DVD特別版・Blu-ray版に収録されています。)

プロデュース面では、シビアな話題が多かったですが、それでも茂木さんは、原監督作品を除いても、一番思い出の残る作品は『河童のクゥ』だといいます。それだけ企画への思い入れもあり、実現にも紆余曲折があった分、思い出もそれだけ印象深いものになったことは想像に難くないのでしょう。改めてスタッフのみなさんにとっても『河童のクゥ』が特別な作品であることを感じさせました。


一方、原監督からは、先日『百日紅』が長編部門審査員賞を受賞したアヌシー国際アニメーション映画祭に行ったときのエピソードが語られました。『カラフル』のときにも、原監督はアヌシーに行ったのですが、そのときとは違って今回はProduction I.Gの石川社長の計らいで、女性スタッフも多く引き連れて、しかも彼女たちには着物を着せるという意気込み。これでもらえなかったらどうしようかと、原監督は不安がっていた
そうですが、結果無事に受賞できてホッとしたそうです。

とはいえ、賞を一度もらってしまうと、意識せざるを得なくなってしまうようで、作品を作る上では邪魔になってしまうと原監督は言います。創作に何の足しにもならず、それが次の作品の保証につながるわけではないと。先日、押井守監督と話す機会があったそうで、そのとき押井監督が言ったのは「賞は人を幸せにしてくれない」とのこと。世界的な評価を受けるがゆえの苦悩も聞けて、とても興味深かったです。

こうしてシビアな話題ながらも、興味深い話が盛りだくさんだったトークショーは終了しました。

トークショーのあとは恒例のサイン会となりました。今回、私は公開時に買っていながら、今までずっとサインをもらえていなかった公式ガイドブックに、ようやくサインをいただくことができました。

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そしてサイン会のあとは、お待ちかねの懇親会でしたが・・・
残念ながらこの日、原監督は翌日にNHKの仕事が控えていたため、懇親会は冒頭のみの参加に。しかし、この前日に原監督が誕生日を迎えたこともあって、支配人からはお誕生日ケーキが贈られました。直接原監督の誕生日を祝うことができたのは何より嬉しかったです。原監督、改めてお誕生日おめでとうございました。

原監督が抜けたあとも、残ったゲストとの懇親会はたっぷり楽しませていただきました。それぞれのゲストの方の近況や、初めて知るエピソードもたっぷり聞けて、ずっと聞いていて飽きませんでした。この調子で朝まで・・・といきたいところでしたが、結局懇親会も終電間際でお開きとなりました。
原監督、横川さん、末吉さん、中村さん、そして今回初参加の茂木さん、楽しい一時をありがとうございました!来年の夏もお待ちしております!!


さて、これもて今年のクゥ上映会イベントは終了・・・
と思いきや、実はまだまだ楽しみが残っていたのでした。

この上映会の翌週に、今度は原監督とオールナイトで飲み明かすオフ会が行われたのです。
この模様は次回に軽くお伝えします。
posted by チューシン倉 at 21:44| Comment(2) | TrackBack(0) | イベント | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして
オールナイトイベントに参加した者です。

原監督がインタビューされるのは新作の宣伝が目的の場合がほとんどで(当然と言えば当然ですが)
映画全体のお話やとても楽しい人柄に驚きました。
ご本人は次回の構想はまだ無いと仰っていましたが、期待はしてしまいます。

いつも原監督の貴重なお話をブログにして下さってありがとうございます!
Posted by しょうへい at 2015年08月27日 16:03
ノヴェチェントで5月に催した別のイベントで、クゥのイベントがあることを知り初めて参加しました(^-^)
サイン会の写真の端に写ってる者です:-)

原監督ファンという立場ではないてすが(失礼)、2007年の池袋初日の帰りに原監督や横川君と偶然お目にかかって以来の再会も果たせ、横川君と原監督の2ショット写真(横川君用)を撮らせてもらったりと、内心舞い上がるほどに嬉しかったです。

東久留米駅のある西武線の終着駅である埼玉の秩父を舞台にした公開中のアニメ映画「心が叫びたがってるんだ」に、美術監督の中村隆さんと藤原啓治さんがキーマン人として参画されています。
原監督の「百日紅」に続き、クゥに携わった方々の活躍ぶりを皆さんにご覧いただければと思います。
(クゥや百日紅のイベントを行ったシネ・リーブル池袋でも公開中です。)
では。
Posted by alanozo at 2015年10月14日 10:25
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