2016年08月29日

シネマノヴェチェント『河童のクゥ』上映会~クゥちゃんは二十歳に、康一君は社会人になりました~

今年もやってきました。グリソムギャングの頃から続けて毎夏恒例となり、すっかり同窓会イベントとも言える『河童のクゥと夏休み』の上映会イベントが、8月6日にシネマノヴェチェントで開催されました。シネマノヴェチェントでの開催は今回が二回目となります。

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今年のゲストは、原監督はもちろんのこと、美術監督の中村隆さん、クゥ役の冨澤風斗さん、康一役の横川貴大さん、そして今回初参加となった編集の小島俊彦さん、原画を担当された霜山朋久さんの6人。当初はキャラクターデザインを務めた末吉裕一郎さんがゲストに来られる予定でしたが、仕事の都合で来れなくなり、その代打として末吉さんから推薦を受けたのが霜山さんでした。(もっとも霜山さん曰く、最初は末吉さんと一緒に来るという話だったそうですがw
そんな6人の大賑わいで和やかな雰囲気のなかでトークショーが行われました。

今回初参加の霜山さんはこの『河童のクゥ』を始め、その後も『カラフル』『百日紅』と原監督作品に続けて原画で参加されており、『河童のクゥ』では、友佳里がクゥのお父さんの腕の入れ物を作ってくれたシーンを担当。『カラフル』では、母親がハンバーグをこねるシーンや、父親と誠が一緒にラーメンを食べに行くシーン、そしてラストの家族でお鍋を囲うシーンなど、主に食事シーンを担当。『百日紅』では床に伏せているお猶が、北斎の顔を触るシーンなどを手がけていました。『カラフル』では、食事の一連のシーンは、霜山さん自身自ら手を上げて描かれたそうで、実際に自分でハンバーグをこねるなどしてその動きを原画に反映させていったといいます。

霜山さんは、原監督の印象について、裏表のない率直な人というイメージを持っており、アニメ業界にはあまりいないタイプだと言います。また原監督からは、現場ではスタッフの雰囲気を知るべく、自ら直接声をかけて様子を見たり、雑談をしたりと、スタッフとのコミュニケーションを大事にされている様子も語ってくれました。霜山さんによれば、最近のアニメの現場は、一つのスタジオに皆集まって作業していることが少なくなっているゆえ、監督と直にコミュニケーションを図れる機会が少なくなっているといいます。それだけに、こうして原監督と直に話ができるのを楽しんでいる様子が伺えました。

同じく今回初参加の編集の小島俊彦さんは、『河童のクゥ』以前から映画『クレヨンしんちゃん』などで原監督と長く仕事されており、かつて今村昌平監督作品の編集も手がけていた故・岡安肇さんが設立された岡安プロモーションに所属しているベテランの編集マンです。

『河童のクゥ』の初回ラッシュ時に160分もあり、そのときに原監督がこれでいいと言ったときには、小島さんは「何を言ってるんだ・・・。」と大変驚かされたそうです。さすがにこのまま上映するわけにはいかず、結局30分以上シーンをカットするという通常のアニメ編集では考えられない編集をされたそうです。小島さんは30分以上カットするのは、ある意味覚悟のいる仕事だったと言います。

原監督からは映画『クレヨンしんちゃん』のときの、岡安肇氏の編集についてのエピソードも語られました。最初に、岡安さんの編集の仕事を見たときに、次々と「いらない」からとガンガン切っていくところにビックリされたそうです。また平気でシーンの入れ替えを提案してくるところに危機感を募らせ、それからは毎回岡安さんと喧嘩するつもりで、切ってはダメなシーンなど詳細な指示をまとめたうえで編集に挑んでいたそうです。

また『戦国大合戦』の終盤、廉姫が崩れて泣いているシーンからフェードアウトして、そのあとトチノキにパッと切り替わるシーンのところは、岡安さんからは「あそこはフェードインしないとダメ」と強く推されていたそうです。しかし、小島さんは「いや、いらないです」と反対し、あの編集にしたといいます。師の岡安さんに臆せずに押し切った小島さんの勇気ぶりが強く伺えました。小島さんは今回の上映会で久々に『河童のクゥ』をご覧になったそうで、改めて観てもやはり『河童のクゥ』は傑作だと、当時の思い出を噛みしめながら語っておられました。

トークの終盤では、原監督から『シン・ゴジラ』についての感想も。庵野監督と同世代と言うこともあってか、伊福部昭さんの音楽がかかるだけで大満足されたそうで、また自分がゴジラを撮るならこうするというアイデアも浮かんだそうです。また日本アカデミー賞の授賞式で、『恋人たち』の橋口亮輔監督と、『ソロモンの偽証』の成島出監督と共に、東宝の島谷社長から「ゴジラやろうぜ」と誘われたエピソードも話してくれました※このエピソードは以前に橋口監督とのトークショーでも話されてましたね。

最後に、原監督は新作アニメ映画をゆるゆると進めていることを明かしつつ、このシネマノヴェチェントでリバイバル上映中の『オン・ザ・ロード』(1982年・和泉聖治監督)を観ろと激推しされておりました(笑)
未だDVD化もされておらず当面その予定もないという貴重なロードムービーですので、気になった方はぜひシネマノヴェチェントへ観に行きましょう。ちなみに筆者も後日鑑賞いたしましたが、実に原監督好みの青春ロードムービーでしたね。

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そのあとは恒例のサイン会と懇親会が開かれ、終始和やかなムードでゲストの方とたくさん話ができました。原監督からは、ここではとても書けないぶっちゃけ話がどんどん飛び出して、聞いているこっちがヒヤヒヤするほどでした。冨澤さんと横川さんに対しては、知り合いのおっちゃんのように振る舞う場面も(笑)

しかしながら、原監督と他のゲストの方々との会話の様子を伺うと、お互いに強く信頼し合っているのを強く感じられ、この信頼関係が原監督作品の礎になっているのかと思うと、とても感慨深く思えました。次の原監督作品でも、再び集まって作品を作ってもらいたいですね。今回ゲストで来られた皆様方、素敵な時間をありがとうございました。

そしてこの二週間後には、『はじまりのみち』の上映会イベントも行われましたが、それはまた後日お伝えします。

P.S.
霜山朋久さんについては、『百日紅』のオフィシャルガイドブックにインタビュー記事が載っています。ご興味のある方はこちらもぜひ。

百日紅 ~Miss HOKUSAI~ オフィシャルガイドブック -
百日紅 ~Miss HOKUSAI~ オフィシャルガイドブック -
posted by チューシン倉 at 23:20| Comment(0) | TrackBack(0) | イベント | 更新情報をチェックする
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