2009年04月20日

『カラフル』原作を読んでみた

次回作の原作である『カラフル』を、この機会に読んでみました。私は小説はほとんど読んでいなくて、読むのは実は10年ぶりなんです(笑)
それだけに物語に入っていけるかどうか不安な面もありましたが、読んでみると、すんなり物語に入り込むことができ、スラスラと読めてしまいました。

感想を一言で言うのなら、結構心にジーンとくるものがありました。主人公の小林真をはじめとする登場人物のそれぞれの苦悩や切実さが、読んでいくうちに自然と心に伝わってきました。中高生向けの小説ですが、大人が読んでも楽しめるのではないでしょうか?
この小説のテーマとも言える「世界はたくさんの色に満ちている」。これは中高生に限らず大人にも向けられるものではないでしょうか。

この原作の『カラフル』を読んでいきますと、これをうまくアニメ化できるのは原監督しかいないのではと思うほど、原監督作品において欠かせない要素が盛り込まれています。そこで、原監督ファンとして楽しみになりそうなところを挙げていきたいと思います。(以下、多少のネタバレを含みます。原作未読の方、映画が公開されるまでの楽しみにしておきたいという方はご注意ください。

1.日常描写が中心

「河童よりも地味になる」とおっしゃてた原監督ですが、「ぼく」が真の魂に乗り移る、天使(プラプラ)の存在、という2点を除いては、ほとんどが日常描写で占められます。プラプラも大きく目立って活躍するわけではないので、その点では確かにクゥより地味かもしれません(笑)
しかし、日常描写の好きな原監督なので、なにかうまい見せかたがあるのかもしれません。


2.家族のつながり

『クレヨンしんちゃん』から一貫して原監督が描き続けている「家族のつながり」。原作でも重要な要素です。真が自殺した一因に、この家族の複雑な事情があるようで、真に乗り移った「ぼく」は、家族の欠点や弱さをプラプラから聞かされます。しかし、彼らと過ごしていくうちに、次第に「ぼく」は家族たちの本当の姿を知ることになります。再認識させられる「家族」の存在。ここも期待が持てます。


3.自然描写

『河童のクゥ』では、遠野の美しい自然が、叙情的かつ大らかに描かれましたが、この原作でもそんな自然描写が出てきます。真が父親に連れられて、山中の清流に向かうのです。原作ではこう表現されています。
「枯れ野の上を音もなく流れる小さな清流―。朝日を浴びた川面は淡い緑青色で、ぼくは一瞬、水がよどんでいるのかとがっかりしたけど、よく見るとそれは水中で揺れる一面の水草だった。水そのものは川底の砂まで見えるほど澄みきっている。その透明な流れをはさんで、むこう岸にもこちらとおなじ壮大な樹木が広がっていた。川上には雪をかぶった山影が浮かんでいる。」
この場所で真はスケッチをし、やがて父親とある重要な会話をするのですが、ここまで具体的に表現されると、実際にアニメになったらどうなるのか楽しみで仕方ありません。ここの自然描写が父親との会話シーンにどう作用するのか注目です。


4.ほのかな恋愛描写

真をめぐる二人の女子の存在。それが桑原ひろかと佐野唱子。ひろかは真の一年後輩の中学2年生で、真の初恋の相手です。ひろかは、部員ではないのに美術部によく顔を出しており、真の絵をとても気に入っています。いつも話しかけてくるひろかに、真は心を奪われたのですが…。
一方の唱子は、真と同じクラスで同じ美術部員。よく真に絡んでくるのですが、実は真に対してある思いを抱いていたようで…。まあ、三角関係とまではいきませんが、こうしたほのかな恋模様は、『河童のクゥ』の康一と紗代子を思わせて好感がもてます。今度は中学生なので、少し踏み越えた描写も出てくるのですが、原監督曰く「ここを外しては物語の魅力は語れないのでそれはちゃんと描こうと思っている」とのこと。作品に対する真摯な姿勢は今回も変わらないようです。


他にも見どころはあるのですが、このぐらいでとどめておくことにして、原作の段階でこれだけ原監督作品の要素が詰まっているだけに、果たしてそこにどんな脚色が加えられるのか。原作にない部分、あるいは描ききれなかったところをどこまで膨らませられるのか。映画オリジナルのストーリーが用意されているのか。気になることが山ほど出てきて、ますます楽しみになってきました。ひょっとすると、とんでもない傑作が生まれるかもしれません。

まだまだ公開も先ですし、情報も少ないですが、それまでの間、原作を読んであれやこれやとシーンを想像してみてはどうでしょうか?

ラベル:カラフル
posted by チューシン倉 at 00:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック